"SchoolSE"

学校現場にSEを。

キッティングについて②

 皆さん、こんにちは。前回はキッティングについての記事を書きました。今回は、実際のキッティングについて詳しくご紹介します。これからやります!という人がどれくらいいるかは分かりませんが(おそらくいないとは思いますが)実際の画面を使ってご紹介していきます。

Set up School PCs!

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Microsoft Storeからインストールできます

 今回のキッティングは”プロビジョニングパッケージを作成し、PCの初回起動時に適用する”という方法です。プロビジョニングパッケージ?となっている人が多いかと思います。プロビジョニングパッケージは、PCを初期設定するのに必要な最低限の情報をパッケージにしたもの、と私は解釈しています。このプロビジョニングパッケージはUSBメモリに保存することができ、サイズも大きくありません。しかも、初回起動時にPCに挿入するだけ!あとは勝手にやってくれます(設定を読み込んだあとは、USBを取り外せます)。放置です。クラウド時代の画期的なキッティングです。なので、”PCを起動しUSBを挿す”を繰り返していくだけでキッティングができてしまいます。

 そんなプロビジョニングパッケージを作成するためのアプリが、上記の”Set up School PCs”です。名前にもある通り、学校で使う端末に特化したものになります。では、実際に作っていきましょう。

起動すると以下の画面が出ますので、開始をクリックします。

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アプリ起動時の画面

まずは初めにパッケージに名前を付けます。セットアップするデバイスの種類に応じてつけるのが妥当ではないかと思います(生徒用PCとか教師用PCとか)。日付は入れておきましょう。バージョンみたいなものです。

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パッケージの名前を設定

次の画面では、Microsoftアカウントにサインインします。ここでサインインするアカウントは、管理者アカウントになります(初期設定ではadmin@~~~だと思います)。ここでサインインしておくことで、Azure Active Directoryへの参加が完了します。この話は非常に難しい話なので、またの機会に詳しくお話しします。すごく簡単に言うと、クラウドに自動で接続してくれます。端末の管理はクラウドベースでという場合は、必ずサインインします。

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クラウドへ接続する場合は必ずサインインを

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サインイン画面

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サインイン完了

次に、Wi-Fiネットワークの設定をします。これをしておくことで、Wi-Fiへの接続を自動で行ってくれます。クラウドへ接続するにあたって、この設定は必須と言えます。この設定は、実際にPCを利用する際にも引き継がれますので、生徒が学校で接続するWi-Fiを設定しておくのが最適解と言えます。ちなみに設定の際は暗号化キー(パスワード)を求められます。確認しておきましょう。

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Wi-Fiの設定

次の設定は、かなり重要な設定になります。これにより、PCの性格がガラッと変わりますので、慎重に設定してください。OSの選択がありますが、これからキッティングするのであれば1903以降のものがほとんどだと思います。初回起動から更新をしていない実機があればバージョンを確認するといいです。バージョンの確認方法は以下の通りです。Windows10の検索機能は非常に便利です。

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”PC情報”と検索

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バージョンを確認

バージョンを選択したら、チェックボックスが現れます。

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設定したい項目にチェックを入れる

ちなみに、前回お伝えした不具合はこの設定が原因でした。ですので、上から順番に解説します。

ローカルストレージを許可します

これにチェックが入ると、”デスクトップ”と”ドキュメント”のフォルダーにファイルを保存できるようになります。逆を言えば、ここにチェックをし忘れると、保存できないということになります。チェック入れるに決まってるでしょ!と思うかもしれませんが、保存させたくない場合もあるかと思います。”共有デバイスでは推薦しません”とあるように、複数の生徒で端末を共有する場合、勝手にいろいろ保存されると厄介ですので、チェックを外しておくとよいです。

共有カートやラボ用ではなく、1人の生徒用にデバイスを最適化します

これです!諸悪の根源!このチェックを外すと”共有PCポリシー”という設定がかかります。

docs.microsoft.com

色々な設定がかかるのですが、特に影響がある設定としては以下のものです。

  • 30日間サインインしないと、PCからそのアカウントが削除される
  • ストレージの空き容量が一定のしきい値(規定では確かストレージ全体の25%)を切ると、アカウントが削除される

これにやられました。勝手にアカウントが削除される現象はこの設定が原因でした。一人一台に端末を割り当てる場合、ここには間違いなくチェックを入れた方がいいです。ちなみにチェックを入れた場合でも、180日間サインインしないと、アカウントは削除されます。半年の間サインインしないことはあまりないとは思いますが、知っておく必要はあると思います。

優先する Azure Active Directoryドメイン名を構成する

以前紹介した、@以下を省略できるという設定をプロビジョニングパッケージに仕込むことができます。この設定は後からIntune上でできますので、ここではしないでおくのも一つです。後でも述べますが、このプロビジョニングパッケージで適用した設定は、初期化以外の方法で削除することはできません。これも結構大事な仕様です。

バイスの製造元によるプレインストール済みアプリの削除

日本のメーカーだと結構多いのですが、よくわからない有難迷惑なアプリがたくさん入っていることがあります。文教向けモデルであればあまりないと思います。チェックを入れると、初期設定の段階で削除の作業が入りますので、時間がかかります。よほどのことが無ければチェックは入れなくてよいと思います。

 

次の設定では、デバイスにつける一意の名前を設定します。この名前はクラウド管理で識別する際に役立ちます。まあ、分かれば何でもいいでしょう。

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識別するための名前の設定

次はタイムゾーンの設定ですが、すでにされていることがほとんどなので、すっ飛ばしてください。その次のプロダクトキーですが、すでにWindowsがインストールされている端末であれば、設定の必要はありません。

次の設定では、テストアプリの設定をします。これを設定すると、サインイン画面にテスト用のボタンが作成されます。CBT(Computer Based Testing)といって、PCでテストを行う際に便利です。普通にフォームとかでテストするのと何が違うの?と思われるかもしれません。テストモードでは、それ以外のことはできなくなります。例えばググったりとかPCにあるメモやデジタル教科書を見たりといったことができなくなります。ここで設定したからと言ってすぐに使えるわけではなく、面倒な設定が追加で必要になります。これについても気が向いたら書きたいと思いますが、興味がありましたら、ここで設定しておくのもありです。URLは空欄で結構です。

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テストアプリの設定

次の設定は、アプリの追加です。クラウドに接続してあれば、あとでアプリを追加することができますので、ここでは必要ありません(試していないのでよくわからないというのが正直なところです)。

次の設定は、個人用設定です。個人用設定というのは、例えば壁紙とかテーマとかです。ここでは、デスクトップの背景とロック画面(サインイン画面)の背景を設定できます。背景は、データがあれば自由に設定できます。ここで重要なのは、ここで背景を設定すると、そのPCでは誰も背景を変更できなくなります。つまり、背景を固定できるということです。これは学校によって意見が分かれるところだと思いますので、相談して決めてください。子どもが自由に背景を設定できるようにしておくことで、PCに愛着を持てるようになるという考えもあります。固定したくない場合は、”個人用設定を使用せずに続行する”をクリックします。

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個人用設定

これで設定は以上になります。次の画面では、設定した内容の確認ができます。これでよければ”承諾”をクリックします。

その次の画面では、プロビジョニングパッケージをUSBに書き込みます。書き込むUSBを挿入し選択すると、パッケージが書き込まれます。ちなみに、複数のUSBに順々に書き込むこともできます。USBが複数必要な場合に便利です。

プロビジョニングパッケージの内容は把握しておくべき

 Set up School PCsを用いたプロビジョニングパッケージの作成について、ご説明しました。パッケージを適用する際は、以下の画面でUSBを挿入します。

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初回起動時の画面でUSBを挿入する

 実際は日本語だと思います。挿入すれば自動で画面が切り替わり、設定が始まります。USBは10秒もかからずに取り外せる状態になります。

 冒頭でもお伝えした通り、実際にキッティングをします!という先生はあまりいらっしゃらないと思います。ですが、キッティングでどのようなことができるかを知っておくことによって、もう少しこうなればなあ、なんてことを業者と相談できるかもしれません。私のように、不具合の原因がプロビジョニングパッケージに隠れているなんてこともあったりします。

 今回の記事で大事なことは”このアプリで作成したプロビジョニングパッケージは、PCから削除することはできない”ということです。なので、共有PCポリシーなんてものを設定してしまったら、初期化するまで直らないということになります。「え?じゃあこれ以外のアプリを使ってパッケージを作成することはできるの?」と思った方、できます。できますが、そっちのアプリはかなり難易度が上がります。

docs.microsoft.com

本来はこれを使わなければならないということを考えると、Set up School PCsはかなり画期的なアプリです。ただし、使う際はこのアプリの特性を理解した上で使うようにしましょう。ではまた。