"SchoolSE"

学校現場にSEを。

キッティングについて①

キッティングとは

 皆さんこんにちは。今回は、Windows端末のミスが発覚し、それによって自分がかなり苦しめられたということがありました。恨みと再発防止の意味を込めて記事を書きたいと思います。

 そもそも、キッティングとは何でしょうか。例えば皆さんが、自分のPCを新調したとします。PCを起動すると、初期設定の画面が出てきます。

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言語の選択画面

Windows10であればこんな感じで、国を選択するところから始めます。その後、Wi-fiの設定やユーザー名とパスワードの設定などをしていき、デスクトップまでたどり着きます。このように、PCを購入後、実際に使える状態にするまでの作業を、キッティングと言ったりします。個人のPCであればなんてことない作業です。気に留めることもありません。ですが、企業や学校で大量に導入する場合は、勝手が違います。一番考えなければならないのは、管理についてです。ちなみに、キッティングという作業は、普通であれば業者がやってくれるはずです。教員がやることはまずない(?)と思いますが、やらされてしまっているところもあるのでしょうか…。

バイスの管理を容易にする

 管理といいましたが、具体的には何をすることなのでしょうか。子どもたちにPCを与えるにあたって、何を気にするでしょうか。少し思い浮かべてみてください。

  • ソフトのインストールはどうする?
  • 子どもたちが自分で設定をカスタマイズできるのだろうか…
  • あまり自由にいじられると手に負えない…

バイスが大量にあり、しかもそれは学校から(正確には市町村教委から)与えられているものだから、ただポーンと与えるわけにはいきません。教師用の端末の管理とは訳が違います。

 そういうわけで、かなり気を使ってキッティングする必要があるわけです。

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引用元:Microsoft GIGAスクールパッケージ 紹介サイト

www.microsoft.com

 従来は、端末を一つ、実態に合わせてセットアップしてしまい、その中身を丸々コピーしていくという方法が一般的でした。この方法であれば、初期のセットアップは確実に行うことができますが、例えば追加でソフトを導入したいとなれば、人が直接操作しないといけないという問題があります。インストールぐらいであればユーザーに任せてもいいかもしれませんが、高度な設定となると…しんどいですね。

 それに対して、クラウド型のキッティングでは、設定を遠隔で飛ばすことができるので、最初のキッティング作業は、起動して特別なUSBメモリを挿すだけで完了してしまいます。設定を飛ばすには、クラウドへの登録が必要となるのですが、それもUSBメモリを挿すだけで勝手にやってくれます。アプリなども、クラウドから随時配信されていくといった仕組みです。この方法であれば、スタートも維持管理もかなり楽です。

 いろいろと書きましたが、これらのキッティング作業は、基本的に業者がやってくれます。クラウド型のキッティングなら、教員ができないこともないですが、できると言ってしまうとめんどくさいので、できません分かりませんと言っておいた方がいいと思います。

Windowsの更新をしたらデータが吹っ飛びました!」

 ある日生徒から、こんな報告がありました。その時は「ああ、更新ミスったのねどんまい」ぐらいにしか思っていなかったのですが、その報告の件数が次第に増えていきました。最終的には、1クラス分ぐらいの端末がそのような事態に陥りました。「こんないつデータが吹っ飛ぶかわからない端末を使い続けるのか…」と大変残念な気持ちになりましたが、嘆いていてもしょうがない、原因調査に着手しました。

docs.microsoft.com

 見つけました。実は、キッティングの段階から、”空き容量が一定値を下回るとアカウントを削除する”という凶悪な設定がかけられてしまっていたのです。これを見つけた時は、感動したのと同時に絶望しました。この設定は、初期化する以外に直す方法はないようです。おい業者…たぶん業者も把握していない設定だったと思います。(ちなみに上のリンク先のdocsというサイトは、Microsoftのものについてすべてが記されているサイトです。ただ、意味不明な日本語訳がされていたり、大事なことがさらっとかかれていたりするので、読むと気が狂いそうになります。)でもなぜ更新がかかるタイミング…?Windowsの大型アップデートの場合、Windowsが自動的にバックアップを端末内に保存します。そのバックアップはシステムファイル丸ごとですので、9GB弱にも及びます。そして、端末のストレージが弱小であること、デジタル教科書を導入したあとであること(たぶん合計10GBぐらい)などが重なり、空き容量が既定の値を下回ったため、めでたくアカウントが削除されたという顛末です。この時ばかりは、よく見つけたと自分を褒めました。

 何が言いたいかというと、キッティングはマジで大事だから業者とよく打ち合わせた方が良いぞ教委、ということです。話が分かる人がいれば、ですけど。ちなみにうちの対応策についてですが…

  • 年度の切り替わるタイミングで随時初期化、キッティングし直していく
  • デジタル教科書を来年度からクラウド版にする(インストール不要)

などといったことを考えています。キッティングし直しって誰がやるんでしょう…。続きは次回。